留学生を教える先生方へ

以下のように項目ごとに異なる特徴があり、それぞれに応じた指導が必要です：

- Sデータ（主観的データ）

  - 患者の言葉を「」で引用する形式

  - 「〜ようにしている」という表現で患者の習慣を記述

  - 「そうですね」「よ」など、患者とのやり取りを示す終助詞の使用

- Oデータ（客観的データ）

  - 名詞の使用頻度が高い（全体の60.3%）

  - 数値データを含む単位表現の多用

  - 「みられる」「みられない」という観察表現の使用

- Aデータ（アセスメント）

  - 「必要がある」「可能性がある」などの判断表現

  - 「〜ことから」などの根拠を示す表現

  - 「〜ているが」などの対比を示す表現

アセスメントでは論理的な記述が必要とされ、以下の表現を適切に使用する必要があります：

•  根拠を示す表現（「あることから」「いることから」）

• 判断を示す表現（「必要がある」「可能性がある」）

• 相反する内容を述べる表現（「〜ているが」「〜はないが」）

これらの日本語表現の使い分けが留学生にとって難しい可能性があります。

すべての項目で「している」「ています」などのアスペクト表現が頻繁に使用されます。これは基本的な文型として最初に指導することで、記録作成の基礎を築くことができます。

以下の点に注意して指導する必要があります：

1. レベル別の語彙指導：

• 初級前半〜中級後半の語彙で全体の約76%をカバー

  • 基本的な語彙が中心に使われています。専門用語以外については、平易で理解しやすい語彙を用いるよう心がけて書く必要があります。

• 上級レベルの語彙は比較的少ない

• 日本語教育で扱われない専門用語は約24%

2. 項目別の特徴的な表現：

•  実施計画：「観察する」「測定する」など

• 評価：「できる」「達成」など

• 自己評価：「難しい」「考える」など

詳細については、論文（https://doi.org/10.19024/jajls.23.2_67）をご覧ください。

以下のような段階的指導が効果的と考えられます：

1. 基本的なアスペクト表現（「ている」等）の使用方法

2. 各データ（S, O, A）に特徴的な表現の導入

3. 特にAデータにおける論理的な記述の仕方

4. 接続表現や判断表現の適切な使用方法

これらの知見を活かし、系統的な指導と教材開発を行うことが効果的な支援につながると考えられます。